2019/09/30
「怒り」とうまく付き合うには
誰でも、本当は怒りたいと思っている
生活の中で「嫌な事」、「拒絶したいこと」、「思っていたのと違うこと」などが起こると、思わずムッとしてしまいます。ここで我慢しないで怒ってしまえば楽になると思いませんか。
嫌なことをため込むとストレスが増えて、かえって体に不調を起こすとか、怒った方が他人から軽く見られないとか等、「怒り」を正当化する考えがあります。
しかし、怒ってしまえば本人は良い気分でしょうが、周りの人たちを一瞬にして暗い気持ちにさせてしまいます。かえって反発を受けるようになります。そして怒っち本人も極まりが悪くなに、後で苦い思いを感じるのです。
それが分かっているから、たいていの人は怒りたくても、怒るのを我慢するようになるのです。
「怒り」初めの状態を知る
怒り始めたとき自分の心がどう動くのかを知るには、普段の自分の心の状態を把握している必要があります。それには、
や
を行い、自分で自分の頭の中を覗き込むようにして、今何を考えているか、何が頭に浮かんでいるか、感じてみてください。
もし、その中に「嫌だ」とか「苦しい」、「嫌い」などの様なネガティブな思いがあったら、今、自分はネガティブな思いを持っている、とだけ覚えておいてください。
またネガティブな思いがあると、考え方や気持ちが暗くなります。「楽しい」「ワクワクしている」「元気」などの心が喜んでいるポジティブな状態では明るく過ごせますが、毎日が「何かつまらない」「嫌だ」「元気がない」等の想いがあると気持ちが暗くなります。
もし、自分が何か元気なく気持ちが暗く落ち込んでいると感じたなら、上記のボディー・スキャン瞑想と解放的な瞑想を行って、何が原因で気持ちが暗くなっているか、探してみてください。毎日が明るく楽しい気持ちで暮らせるように、
にも書いておきましたが、ネガティブな思いがそれ以上続かないように、一旦停止、ストップをかけておきます。ストップと言っても、考えを止めるのではなく、「嫌な」ことが有ることを認めたうえで、それ以上進まないように意識から流し去り、考え続けないようにします。
決して「怒り」の火種に「妄想」と言う燃料を加えて、大きく燃え上がらせないようにしてください。
「怒り」の元は「感情」
人間ですから、「嫌だ」と言う思いから「怒る」ことは当然で止められませんが、むりに「怒り」を抑えようとすると、かえって苦しくなってしまいます。
ところで「嫌だ」と思うのは誰かと言うと、それは自分です。たとえば涼しい室内から、真夏の屋外に出たときは、あまりの暑さに嫌になります。ところで、サウナに入るときはどうでしょう。サウナの中は夏の屋外どころではないほど、暑くなっています。それでも入るときは「嫌だ」とは思いませんよね。
つまり暑いから「嫌」ではなくて「嫌だ」と思うから、「嫌」なんです。
もうひとつ人間には困った心があります。それは何でも自分の「思う通りにしたい」と「自分は正しい」と言う心です。
暑いのが嫌ならば、冷房を効かせればよいのですが、相手が人間だとかなり厄介なことになります。
一番いいのは夏が暑いのと同じように、その人がそこにいるだけだと思い、「嫌だ」と言う気持ちを起こさないようにすることです。相手がそこに居るのは変えられないけど、「嫌だ」と言う気持ちは変えられます。
私ごとになりますが、私はある中華関係のチェーン店で調理師として働いています。あるときとんでもない店長がやって来ました。かねてから噂で、怒りっぽくて、細かいことにまで口を出し、その人の云う通りにしないと、とたんに怒りだすと、言われていた人でした。
初めは皆反発しましたが、その店長が皆の出勤時間の2時間前から、店の仕込みをしているのを見て、見方が変わってきました。飲食店では、ランチタイムの時、いかに素早く料理を提供できるかで、売り上げが決まります。お客様は限られた時間で食事をとられますので、いかに早く、品質を落を落とさずに提供するためには、細かい下準備が必要です。
今までは時間がなく十分な仕込みが出来ませんでしたが、店長が基本的な仕込みをやってくれるおかげで、細かい仕事が出来、さらに予備として夜の分も作れるようになりました。さらに口うるさい店長のおかげで、ランチタイムが終わった後、夜の部の仕込みだけではなく、次の日のお昼の分も仕込むようになり、調理の時に必要な品物が途切れることが無くなり、仕事がスムーズに運ぶことが出来ました。
ここまで出来るようになると店長が早出しなくてもよくなったうえ。店の売り上げも上がりました。
相変わらず。怒りっぽくて口うるさい人ですが、前ほどには「嫌」でなくなり、反対に「凄い」人だと皆が納得するようになりました。
結局、「嫌だ」との思いはこちらの考え方次第なので、「嫌だ」と思わなければよいということです。
ですから「自分が正しい」と考え「相手に変わってほしい」と思わず、こちらの考えを変えた方が早いです。
昔、淀川長治と言う映画評論家が居ました。テレビの映画劇場や、海外ドラマの解説で有名になった人です。解説の最後に
「では、また来週お会いしましょうね。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」
と言うのが決まりなので、「サヨナラおじさん」名前を付けられていました。その人の言葉に
「わたくしは、嫌いな人に会ったことがない」
と言うのがあります。ある人が
「本当にイヤな人やキライな人に、会ったことがないのですか?」
と聞きました。
「私にも嫌な人や、嫌いな人がいますよ。でも、そういう人と会う時は、”あの人が好き” “あの人が好き” “あの人が好き”と何回も繰り返して言ってみるんです。そうすればその人の良い面が見えて来て、嫌いじゃなくなります」
これも「嫌だ」と言う思いを断ち切る一つの方法です。
「嫌だ」とい想いを断ち切る、マインドフルネス的方法が、
で書いている『慈悲の瞑想』です。
たとえ、嫌いな人でも、『あの人も、一生懸命生きているんだ。大変なのだ。何とか幸せになってもらいたい』と思えるようになれば、それほど「嫌い」にならなくなります。騙されたと思って、ぜひやってみてください。
「怒る」のは避けられませんが、出来るだけ小さいうちに消すようにして、間違っても餌をやったり、燃料をくべたりして大きくしないようにすることです。
普通の人は「怒り」を悪いことだと思って、なるべく怒らないように努力しますが、
で述べた「シロクマ実験」のように、抑えようとすると、逆に「怒り」が意識にまとわりつくようになります。
生きている以上「怒り」が出るのは仕方のないことですから、出てきたら、川に浮かんだ枯れ葉が流れる様にそのままほっておいて相手にしないことです。そうすれば「怒り」も諦めて去っていきます。
何時までも抱え込んで、何回も繰り返し「怒り」と付き合ってしまうどんどん大きくなり、やがてあなたの体を乗っ取り取り返しのつかないことになってしまいます。気を付けてください。
では、次回まで、サヨナラ・サヨナラ・サヨナラ。