マインドフルネスの活かし方

幸せになるには、お金よりも心を変えることが大事です

第2章『マインドフルネス』の歴史 その2 『サーチ・インサイド・ユアセルフ』

time 2019/05/27

第2章『マインドフルネス』の歴史 その2  『サーチ・インサイド・ユアセルフ』

『サーチ・インサイド・ユアセルフ』とは何か

今まで『マインドフルネス』は、うつ病などの心の病を治療する手段として、発展してきました。

2007年、世界的なIT企業のGoogleがリーダーシップや集中力を高めるためのマインドフルネスプログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」の開発に着手しました。

2009年より、グークールで「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」のプログラムを使用した社内研修が始まり、瞬く間に社内での受講者が5千人(グーグルの社員が5万人ですから、10人に対して1人の割合で受けたことになります)を超すまでの人気講座となりました。

「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」の講座を受けることで集中力・作業効率・創造力・他人との協調力が高まり、ビジネスにとって有効であることが分かりました。

現在では、アップル・フェイスブック・インテル・IBMなどの一流企業でも取り入れられ、広く普及しました。

「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」の開発者チャディー・メン・タン

ここで、チャディー・メン・タン(Chade-Meng Tan)氏について少し書いておきます。

「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」を書き上げたチャディー・メン・タン氏はグーグル107番目の社員で、IQ156の天才エンジニアでした。彼は1970年、シンガポールに生まれました。子供時代から、プログラミングのコンテストで、賞を総ナメしてきました。

アメリカのハーバード大学を卒業後、設立されたばかりのグーグルに入社しました。そこで彼は大きな挫折を味わうことになります。

世界中から選ばれた優秀な人材がしのぎを削っています。子供のときから一番頭が良かったから、ハーバード大学に行き、ハーバードでもそこそこ成績が良かった人が、グーグルに入ったとたん、周りに比べて自分は大したことない、と思わされます。たしかハーバードは50人中1人しか合格できない難関ですが、グーグルは1000人の応募者に対し、1人しか入れないといわれています。その集団に入って、自分の能力に自信をなくすのです。

「詐欺師症候群」に苛まれる人も大勢います。周りがすごすぎて、自分がここにいるのは何かの間違いなのに、ここにいる資格があるように嘘をついていて、周りにそれがバレてしまうのでは、という不安感に襲われるのです。(本人の弁)

引用先 BLOGOS

この様な中で、コンプレックスや生きづらさに苦しみ、21歳のときに仏教と瞑想に出合ったことを思い出し、実行してみたところ大きな効果を得られました。

そこでグーグルの同僚たちに、瞑想が人生や仕事に生かせることが出来ることを伝えようとしましたが、ここで大きな壁に出会ってしまいます。グーグルの社員は、優秀なエンジニア・科学者・プログラマーの集まりですから、いくら自分の体験で効果があると話しても、信じてもらえません。誰もが参加でき、実践できるような方法を考えました。

EQ(情動知能)とマインドフルネスの合体

EQ(情動知能)とは何?

心の知能指数(こころのちのうしすう、英: Emotional Intelligence Quotient、EQ)は、心の知能 (英: Emotional Intelligence、EI) を測定する指標である。心の知能とは、自己や他者の感情を知覚し、また自分の感情をコントロールする知能を指す。

引用 ウィキペディア

こう書かれても分かりにくいと思いますが、同じような言葉でIQ(知能指数)があります。これは対象となる人の知能を表したもので、今までIQ(知能指数)が高いと社会で成功すると思われていました。

しかし勉強が出来、難関大学を卒業しても仕事となるとまるっきり駄目で、社会的に成功することが出来ない人がいます。

EQ研究のパイオニアであるピータ・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏は当時の主流であった「IQの高い人が社会的に成功する」という考え方に疑問を持ち調査を始めました。研究の結果「成功した人は対人能力に優れている」ことが分かりました。

いくら知能が高くても、思いやりがなくて自分勝手な人は、仕事でいい結果を残せないでしょう。そんな人と一緒に仕事をしたいと思う人はほぼいないから協力を得られません。また、EQが低いと自分の感情をコントロール出来ないので逆境に弱くなります。こうして社会的に成功できなくなるのです。

1985年、ダニエル・ゴールマンが『EQーこころの知能指数』という本を出版して、EQは、仕事を成功させるうえで重要な指数として知られるようになり、多くの企業で採用されるようになりました。

ゴールマンはEQを5つの領域に分けて説明しています。

  1. 自己認識-自分の内面の状態・好み・資質・直感を知ること
  2. 自己統制-自分の内面の状態・衝動・資質を管理すること
  3. モチベーション(動機付け)-目標達成をもたらしたり、助けたりする情動的な傾向
  4. 共感-他人の気持ち・欲求・関心を認識すること
  5. 社会的技能-他人から望ましい反応を引き出すのに、熟達していること

これらは自分一人ではなく、組織の中で仕事をする場合、大変重要な能力となります。

EQはIQと同じように数字で表示され、学習によって上昇させることが出来ます。

チャディー・メン・タンはマインドフルネスの瞑想を実行することにより、EQの値が上昇することを実証してみせました。

こちらのサイトでEQの値を測る簡単なテストを受けることが出来ます。興味のある方は受けてみてください。

また最新の脳科学の研究論文から、マインドフルネスを実行すると、記憶や感情をつかさどる「海馬」が大きくなることや、恐怖や不安に反応する「偏桃体」が縮小することなどを、脳の断層写真や血流を示す図表を使い、発表しました。

これにより、ただの体験談からマインドフルネスの効果に疑問を呈していたグーグルの社員たちも、実際に効果があることを知り、興味を持ち始めます。

瞑想を日常生活に

そうはいっても、瞑想をマスターするまで、深い山の中の寺院に籠って何年も修行したり、1週間から10日にわたる瞑想合宿に参加したり、毎日・又は1週間に何度も瞑想を教える教室に通ったりすることは、忙しいグーグールの社員たちにとっては無理なことでした。

そこで、チャディー・メン・タンは疲れてコーヒーを飲む時や、席を離れてトイレに歩いていく間、食事の前や終わった後、通勤の時など日常生活のちょっとした時間で行える瞑想方法を教えました。

これによりグーグルの人たちは、仕事の合間を見て手軽に瞑想することが出来ました。

こうしてマインドフルネスは、グーグルで社内研修を行うほどになり、業績アップに貢献するとともに、社員たちを仕事のストレスから解放するなど心の健康にも寄与できるようになりました。

マインドフルネスに関する調査・研究で有名なものは、リチャード・ディヴィッドソンとジョン・ガバットジン二人の論文(Alterations in Brain and Immune Function Produced by Mindfulness Meditation)が有名です。

これはあるバイオテクノロジーの従業員に対して、8週間のマインドフルネスの研修を行った結果、被験者たちの不安レベルがはっきり下がりました。これにより、マインドフルネスがビジネスにも有効であることが示され、多くの企業で研修が行われることになりました。

この時使用された研修プログラムは、「マインドフルネス・ストレス低減法」として発表されています。

 

こうしてグーグル社内での人材育成に成功したチャディー・メン・タンは、2015年に退社してSIYLI(Search Inside Yourself Leadership Institute)を創設し、サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)が世界平和に貢献出来ること期待して、普及に取り組んでいます。

 

 

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